中期目標は科学の要請に基づいた野心的な目標を!

イベント開催日

2009-05-07

 5月7日(木)、総評会館において、「どうなる?どうする?2020年 温暖化対策の中期目標」を開催しました。ちょうど政府が日本の温暖化対策中期目標を議論し、6つの選択肢を示してパブリックコメントを募集しており、中期目標に関する詳しい説明と課題について議論しました。
 
 最初に、内閣官房の鎌形浩史さんより、中期目標の選択肢の内容などご説明いただき、 国立環境研究所の藤野純一さんからは、中期目標を検討するにあたっての視点などをお話いただきました。
中期目標の検討とは、2050年までの長期ビジョンを描き、すでに合意されている現状から世界全体で半減するという目標に向けた途中段階での2020年の排出目標を日本としてどのように設定するかの検討です。
 政府が提示した6つの選択肢は、現状の対策をそのまま積み上げていく方法や、先進国全体で削減するものなどもっとも甘い目標で90年比で4%増加から25%削減までが並んでいます。これは、温室効果ガスを国内だけで削減した場合の、いわゆる「真水」の削減目標として示されています。いずれのケースも年率1.3%のGDPの成長を前提とし、これまでの省エネ対策などを織り込んだ「限界削減費用」を指標としてモデルが出されています。鎌形さんからは政府がいきなり決めるのではなく、国民的な議論をして決定するために、意見交換会を各地で開催し、パブリックコメントを集めているというお話でした。

 お二人の発表に対して、会場からは、「そもそもの前提の設定で、たとえば車は低公害車を増やすとしており公共交通システムの充実化などの前提がない。こういう前提の作り方そのものがおかしいのではないか。」といった意見や、「限界削減費用の設定が高すぎるのではないか。もっとコストダウンが図れるはずだと思うがその点が織り込まれておらず、対策をすればするほどコストがかかるというように見えるようにつくられているのではないか」「いずれの選択肢いずれをとっても長期目標との両立は可能とあるが、総量を面積でどうたどるかということ、国民にその説明がなされていないのではないか」といった指摘があがりました。

 平田事務局長からは、中期目標の6つの選択肢について経済への影響負担としてだけ大きく見積もられすぎていることや、産業部門や発電部門でももっと大幅な削減が見込めるはずなのに過小な見積もりになっていることなど、対策強化をしたくない産業界の意向が反映されてしまった内容なのではないかと指摘しました。
 中期目標は人類にとって危険な気候を回避するために、科学が示す「90年比25~40%削減」に基づき、日本として野心的な目標を設定することが必要だと述べました。

 さらに、上記講演後、サンデーモーニングのコメンテーターとしてご活躍の涌井史郎さんに駆けつけていただき、「生物多様性から見た温暖化問題」と題して緊急講演をしていただきました。涌井さんからは、地球の誕生からの歴史で多様な生物がつくりあげてきた地球の代謝システムを急激に人間が壊してきてしまっている。絶滅モデルに向かっているような社会のシステムの上に今はあるのではないか。日本人はかつて江戸時代までは、自然界との応答の中できわめて巧みな文化水準の上で生活してきていた。今それを見直し、哲学を持った選択をしていかなければならない。といったお話がありました。

政府の中期目標について語る内閣官房 鎌形氏
2020年のモデルにかかわった国立環境研究所の藤野氏
中期目標の読み方を解説する平田事務局長
緊急講演で生物多様性の観点からも哲学のある対策が必要と語る涌井史郎さん
60名を超える参加者が集まった

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