◇“25%以上削減”を国内で確実に達成させよう!MAKE the RULE議員会館内勉強会2010 第3回 再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度について

イベント開催日

2010-06-16

◇“25%以上削減”を国内で確実に達成させよう!
 MAKE the RULE議員会館内勉強会2010
第3回 再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度について
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日時: 6月16日(水)14:00~15:30
会場: 衆議院第一員会館 第1会議室
講師: 大島 堅一氏(立命館大学国際関係学部教授)
     飯田 哲也氏(環境エネルギー政策研究所所長)

MAKE the RULEキャンペーンでは、温暖化対策の中期目標として2020年までに90年比25%以上の削減を国内対策で確実に実施していくために、現在審議中の「地球温暖化対策基本法案」をこの通常国会において実効性の高い内容で制定し、温暖化対策を前進させたいと考えています。
これに向けた議員会館勉強会シリーズの2010年度第3回目は、早期導入が目指されている再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度をテーマとし、様々な再生可能エネルギーを国内で普及するためにはどんな制度が望ましいのか、またそのための「コスト」の考え方などについて情報を共有しました。

最初に講演した大島氏は、「再生可能エネルギーの政治経済学」(東洋経済新報社)を出版されたばかりです。
まず原子力を例にとり、国の政策として財政的に支出がされていること、バックエンド費用と呼ばれる原子力発電に伴う廃棄物の再処理・処分費用などは消費者が電力料金を通じてすでにコスト負担(2006年度は1世帯・1月当たり274円を負担)していることが示されました。揚水発電を含めれば原子力の発電単価は安価とは言えず、消費者の負担も大きく、政策的に優遇措置が与えられていることは明らかです。また、未だ本格稼働していない再処理工場(青森県六ヶ所村の再処理工場は2010年6月20日現在試験運転中)の費用を今後消費者が負担し続けていくことを考えると、再処理コストは増え続けることが予想されます。この点は今後大きな議論になると指摘しました。
対する再生可能エネルギーは、無尽蔵で莫大な資源量、国産、燃料費不要、環境負荷が小さいといった特徴がありますが、現時点では普及が進んでいません。大島氏は「環境対策としてとらえるだけでなく、国家戦略としての産業政策が必要」とし、全量固定価格買取制度は再生可能エネルギー普及の壁である導入コスト低減に大きな役割を果たすとしました。再生可能エネルギーを導入しようとするパイオニア(開拓者、先駆者、草分け)のリスクを軽減し、爆発的な普及を図ることが可能だからです。すでにドイツでは「買い取り+優先接続の保障」を軸に細かく設計された制度の運用により、総費用を抑えながら大きな普及を実現しています。コストを負担し続けなければならない原子力発電の再処理費用と異なり、産業政策としての全量固定価格買取制度は、一定程度の普及という役割を果たせば終了させることもできます。
うまく設計された固定価格買取制度は持続可能性があるとする大島氏は、「テイクオフさせることを前提にした産業政策として実施し、そのうえで費用を負担することが求められる」「もちろん環境政策も必要だが、国家政策としてどう産業をとらえるかが問われている」と話しました。

続いて飯田氏は、最近の世界情勢を紹介し、ピークオイルについて金融の関係者からもリスクが高まっているという議論を紹介しました。クジラの減少と同時期に鯨油価格が乱高下したのと同じように、ピークオイルが迫れば石油価格が乱高下し、企業経営のリスクが高まることになります。
世界を見渡すと、幾何級数的、倍々ゲームで自然エネルギーが伸びています。中国では原発13基分の風力発電、ドイツでは原発4基分の太陽光発電ができましたが、日本の自然エネルギーは封じ込められ完全に後れをとっています。自然エネルギー企業もここ10年でベンチャー企業が1兆円超の規模まで成長していますが、日本ではそうした企業は見られません。
こうした中、日本は毎年23兆円、GDPの5%の石油を購入しており、めぐりめぐって電力消費者が負担しています。国内には再生可能エネルギー資源は有り余るほどあるため、こうした資金を再生可能エネルギーに投資するのは「いつまでにやるか」と決断するだけと指摘しました。これにはエネルギーと社会構造の変化が必要ですが、化石燃料に頼ってごみをまきちらして文明を支えるのではなく、太陽光発電などの装置を植え付ける、つまり装置産業を増やすという考え方の変化が必要と指摘しました。
この点で、再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度は一定の役割を果たします。飯田氏はしかし、現在提示されている経産省のオプションについて「環境価値という視点を重視し普及のための手をうつことが必要だが、中途半端という感が否めない」とし、以下の点を指摘しました。
・買取価格は一律ではなく、経験とセオリーに沿ってエネルギー別など細かく設定すべき
・住宅に関しては全量買取が適当。余剰買取や省エネ努力に期待する制度は消費者個別の事情でうまれる不公平を制度にビルトインすることになり、公共政策として適当ではない
そして、ISEPと東京都が提案するISEPオプションを提示しました。
また、6月中に素案を固めるという進め方についても異議を唱え、電力会社からの反発、選挙前に閣議決定がもくろまれているエネルギー基本計画(事務局注:2010年6月18日に閣議決定)ど、経済産業省の姿勢を批判しました。一例として原子力トラウマと言われるスウェーデンを例に挙げ、本気で自然エネルギーが重要・伸ばそうと思った人が政策に関わらないと、数字の差に出てくると指摘しました。真剣に取り組むためには真剣な政策チームが必要なのです。

会場からは、「なぜ非合理な原発、再処理が国策として進められるのか」「再生可能エネルギー導入はコスト負担が大きいという話が強調されるがどうなのか」といった質問があがり、エネルギー政策の裏に隠された官僚・関係者の思惑と、表にはなかなか出てこない現状のエネルギーコストについてきちんと見ていく必要があるとまとめられました。

残念ながら今回は国会の閉会日と重なり、国会議員の方の参加はありませんでした。しかし約40名の国会議員秘書、メディア関係者、NGO、一般市民の方にご参加いただきました。

立命館大学国際関係学部教授 大島堅一氏
環境エネルギー政策研究所所長 飯田哲也氏
会場の様子

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